第13章 勘違いから…
初対面なのに名前を知ってる事に驚くが
愛称で呼んでいるという事はフォルトに
聞いたのかもしれない。
「はい。そうです。どうかし…」
「あなただけには渡さない!」
急にキッと睨まれ体が硬直する。
「えっと、何の話…」
体は動かないが話す事は出来るようだ。
しかし相手が全く聞き入れない
ような状況である。
「しらばっくれないで!ギーニに
あなたは相応しくないんだから!」
目の前の少女が何に怒ってるのか全く
検討もつかなかったが急に目が
閉じてくる。
何か魔法を使われてると思い至った
時には目の前が暗くなり意識を失った。
大きな音がしてルシアリアが目が覚めると
辺りが暗くて何も見えない。
生活魔法で明かりを灯す。
するとルシアリアがいたのは洞窟の中
のようだった。近くに出口のような
ところがあったが大きな岩で塞がっている。
先程の大きな音はこの出口を塞いだ音
だったようだ。
「どうしてこんな所に…さっきの子が
連れて来たのかな?」
洞窟から出れそうにない。
どうしようかと考えていると洞窟が
奥に長く続いてるのに気付いた。
「もしかしたら、こっちから出れるかも」
ルシアリアはこの場にいても仕方ないと
思い洞窟の奥へ進む事にした。
土壁が続き少し細い道になっているが
まだまだ奥は続いてるようだ。
足元を確認しながらゆっくり進む。
少し進むと前方の方から足音が
聞こえてきた。
一人、こちらに向かって走ってるようだ。
相手がどんな人かもわからないから恐い。
少し来た道を戻る。出口を塞いでいた
岩と岩の間に窪みがあり人一人
入れそうな大きさだったので
その窪みにしゃがんでライトを
消して隠れる。
だんだん足音が近くなりドキドキしてると
ルシアリアがいる少し手前でドシャッと
大きな音を立てて転んだ。
「ふっ うっく ひっく…」
すぐに声を堪えて泣く声が聞こえてきた。
動く気配がないので怪我でも
したのだろうか気になって窪みから
そっと音のした方を見る。
すると、そこには10歳くらいの
女の子が痛いのを堪えて蹲っていた。