第12章 エキドナの歓迎
白い石の素材で出来た大きな宮殿を
案内される。
他の生き物には会わない。
「ピピ、ここはエキドナさん以外に
誰も住んでないの?」
「そこら中にたくさん潜んでる。
エキドナ様との謁見が先だから
隠れてるのだろう」
「そうなんだ!みんなと
仲良くできるといいなぁ」
「小娘は魔物を恐れぬのだな」
「うん!だって魔物にも恐い魔物
だけじゃなくて仲良くなれる魔物も
いるって知ってるから」
「…そうか。人間も小娘のような者
ばかりだといいのだがな」
「人間にも悪い人はいるけど、いい人も
たくさんいるからきっと仲良くなれるよ」
「そうだといいな。さぁ
ここが謁見の間だ」
白い大きな扉を潜り通された先は
ピピとそっくりなヘビがズラリと
玉座に向けて両側に等間隔に並んで
出迎えてくれた。
そして一番奥に玉座と呼ぶに相応しい
豪華な椅子に腰掛けているのが
ピピの主のエキドナだろう。
上半身はルシアリアと同じくらいの
サイズの女性だが下半身は大きなヘビ
であった。
緑色の波打った綺麗な長い髪に
ルビーのような輝く赤い瞳を
しており唇も赤く艷やかで色気が
半端なくあり同じ女のルシアリアですら
エキドナの美しさに見惚れてしまった。
「小娘、名は何という」
ルシアリアがポーッとしてるとエキドナ
から話し掛けてきた。
「あ、ご挨拶が遅れました。
ルシアリアです。よろしくお願いします。
この度は歓迎して頂き…」
「あー良い良い。そんな畏まらんで。
妾はエキドナじゃ。此度は妾の
眷属であるピピを助けてくれて
感謝する。…さて何が願いじゃ?」
椅子の肘掛けに腕を乗せ上機嫌な
様子のエキドナ。微笑む微笑が
妖艶でドキドキする。
「あ、えと…人間と和平条約を結んで
頂けないでしょうか」
「なんじゃ、呪いの解除方法を知りたい
のではないのか?」
「もちろん知りたいです!
でも、それは個人的なお願いで…
まず種族間で仲良くなれたら
いいと思いまして」
「なるほど、お主は思ったより
強欲だったのだな。気に入った!
和平を考えても良いぞ」
「本当ですか!?」
「ただし!お主が妾のお願いを
聞いてくれたらな」
やはり簡単に和平できるとはいかない
ようである。