第11章 エキドナのまじない
「そうだ。そのペンダント、貸して」
フォルトは機嫌悪そうに手を
差し出してくる。不思議に思いながら
お揃いのペンダントを渡す。
「ルアの身に危険が迫ったら
俺のペンダントが反応するよう魔法を
かけとくから。ペンダントは絶対
外さない事」
「フォルト!ありがとう」
結局はルシアリアに甘いフォルトだった。
旅支度を整えて馬車乗り場に行くと
三人組が待っていた。
「姐さん!昨日俺達ちゃんと買った物
渡しました?その時の記憶がなくて
気付いたら3人共廊下で寝てて…」
やはり術にかかってる間は記憶が曖昧に
なるようだ。それが確認できて少し
ホッとする。
三人組に会うのは恐かったが
ピピが念の為にと結界を張ってくれたし
それにまじないの効果が弱まっているのか
ルシアリアを見ても昨日のようには
ならなかった。
「うん…!受け取ったよ!ありがとうね」
朝起きたら床にレターセットが
散らばっていた。
三人組に会うか悩んだがフォルトを
見送りたかったからついてきた。
「あん時らへんの記憶が3人共朧げで…」
「思い出したら殺す」
機嫌の悪いフォルトが3人を脅す。
「フォルト!脅かさないの!」
「ルア、やっぱり一緒に行ったら
ダメか?」
諦めきれずに何度目かの同じやり取りをする。
「フォルト。私も寂しいけどフォルトの
助けを待ってる人がいるから
早く行ってあげて。
私もすぐに追いつくから」
「えぇ!姐さんは一緒に
行かねぇんですかい?」
「ちょっと寄る所があってね。
フォルトをよろしくね」
「そんな畏れ多い。ですが姐さんの
頼み。兄貴の事はお任せください!」
「お前らに世話になる事なんてない」
完全にへそを曲げているフォルト。
そんなフォルトの頬にチュとキスを
して馬車に乗るように促す。
「またすぐ会えるから。フォルトも
ドラゴンに気をつけてね!怪我しない
ようにね!」
「ルアもすぐ無理や我慢をするから
気をつけて。ドラゴンの件が片付いたら
すぐに迎えに行くから」
「フォルトこそ無茶しないでね」
名残り惜しいが最後に口づけを
交わして分かれる。
そして馬車が見えなくなるまで見送った。