第10章 旅立ち 初めての野宿
「あの!もしかして、あなたは
魔王討伐したフォルトさんですか?」
三人組の一人が興奮を抑えきれず
話しかけてきた。
「…そうだけど」
フォルトはそっけなく答える。
「やっぱり!一人で魔王討伐なんて
すごすぎる!俺あなたに憧れてました!
もし良ければ魔王討伐の時の話を
聞かせてください!」
フォルトは面倒そうに、どう断ろうか
考えていたが
「私も聞きたい!」
ルシアリアの一言でフォルトの武勇伝を
聞くことができたのだった。
馬車は賑やかに今日野宿する場所に
辿り着いた。
フォルトが魔王討伐にはルシアリアの
存在がいかに大きかったか吹聴した
おかげで冒険者でもない
ルシアリアもなぜか辿り着く頃には
「姐さん」と慕われていた。
二人組の男女も恋人同士であるようで
ルシアリアとフォルトの仲の良さに
理想のカップルだから
見習いたいと仲良くなれた。
野宿する場所に他の人はいなく
木や大きめの石が少しゴロゴロ転がっては
いるが開けた所なので何か近づいてくれば
すぐわかるいい場所だった。
それぞれで夕食を摂り交代で
見張りをして休む事になる。
まず最初にフォルトとルシアリアが
見張り番になった。
休んでいる人達に話し声が聞こえると
休む邪魔になるので少し離れた所で
焚き火を二人で囲む。
「ルア、今日は初日だったから
疲れただろ?先に休んでいいよ」
ルシアリアの疲れを見抜いてそう
進言してくれたがルシアリアは
首を振る。
「見張りもやってみたいからやらせて。
休む時はフォルトと一緒に休みたい」
「ルア、…こんな外で抱いて欲しい
なんて…」
「言ってないよ!?」
「嘘々、冗談。でも本当に疲れただろ?
馬車でお尻痛くなったんじゃない?」
「痛い…カチカチだよ~。
フォルトは大丈夫なの?」
「俺は鍛えてるからね。ほら
こっちおいで」
両手を広げ自分の膝の上に座るように
ルシアリアを呼んだ。