第10章 旅立ち 初めての野宿
アルク村を出発し、町で馬車に乗り
北東の方角に進む。
二人が向かうのはドラク村。
ドラク村は人里離れた村で
近くにダンジョンがあったり
ドラゴンが住んでおり
冒険者が集まる村だが、
最近はダンジョンの魔物も
大人しくなり活気が減って
きているという噂である。
魔王討伐の裏に村の活気が
関係してくるとは思っても
みない出来事であった。
ただ、それだけでは村に行く理由
になるわけなく
近くに住むドラゴンが
強い者を求めて彷徨う事で多大な
被害が出ているらしいのだ。
ドラゴンは個数はそれ程多くないものの
人の何倍も大きい体を
しているのもいる為、人が太刀打ち
するのも難しい。
しかし魔王をフォルトが倒した事を
噂で知り人間の強い者を探している
という事が暴れている原因とわかり
フォルトが赴くことになったのだ。
「ドラク村は遠くて今日は途中で
野宿になるよ。馬も疲れるから
夜はみんなで交代して見張りをしながら
野宿するんだ。大丈夫?」
旅に慣れてるフォルトはあまり
村から離れた事のないルシアリアが
心配で仕方ない。
村を出てからずっと手を繋いでいる。
確かに初めての旅で不安もあるものの
フォルトと一緒なので楽しい気持ち
の方が勝っている。
「大丈夫だよ!フォルトとなら
どこでも嬉しいよ」
慣れない旅ながらも何もかもが
新鮮で楽しい。見たことのない
景色を楽しむ余裕もある。
馬車にはルシアリアとフォルト以外
にも二組が乗っていた。
一組は男性三人組の冒険者グループで
ルシアリアとフォルトをチラチラと
気にしている様子である。
もう一組はルシアリアとフォルトと
同じように男女の二人組である。
人が多く乗れるよう荷台用の馬車を
人が座れるようにしてあり
座り心地は良くないし中は狭い。
男の隣に座らせたくなくて端に
ルシアリアを座らせてその隣に
フォルトが座る。
狭いが乗ってる人数は少なめ
だったので余裕があった。
しばらく皆静かに乗っていたが
三人組の一人が堪えきらず話しかけてきた。