第9章 事後報告と勇者の憂鬱
「そうそう、露天でステキなお守りの
ペンダントがあってお揃いで
買ったんだよ!」
もう一つ持っていた紙袋から
白い石のついたペンダントを
二つ取り出す。
「白翡翠の石で悪い事から守って
くれたり幸運を運んでくれるんだって!
フォルトにいっぱい幸せが
訪れますように!」
革紐の長い方をフォルトの首に
かけてあげ、自分も首にかける。
「へへっ、お揃い♪」
お揃いが嬉しくて満足気な顔のルシアリア。
「ありがとう。大切にする」
フォルトもまさかのプレゼントが
嬉しくて石を握り締め
しばらく喜びに浸った。
「…そういや、ルアのお母さん
体調はどう?」
「あれからだいぶ良くなって
起きて家事も出来るようになってきたの!」
「それは良かった!…ならルアを
連れて行ってもいい?」
「…?どこに?」
「王都。勲章やら褒美やらくれるみたいで
…別にいらないんだけど、王様に逆らうのも
今後面倒だしね。一緒に行ってくれる?」
「いいの?私も行って」
「俺がお願いしてるの。もうルアと
長い時間離れたくないから。それが
俺のワガママ。」
「それなら、喜んで!」
村に帰ってからさっそくルシアリアの
家に行きお母さんにフォルトと
王都に行く許可をもらいに行く。
産まれた時から二人の成長を
見守ってきているし、フォルトが
強い事も知ってるので
「お母さんの体は良くなったから
気にせず自分の思った通りに
進めばいいのよ」
と、簡単に承諾してくれた。
教会にもお休みを伝えに行くと
村の英雄であるフォルトを
支えてあげてと快く
送り出してくれた。
王都までは徒歩と馬車で1ヶ月程かかる。
授賞式は3ヶ月後にある予定だが
今回はギルドの依頼を受けながら
王都に向かうので早く
出発する事になった。
ルシアリアは旅の準備や仕事の引き継ぎを
1週間で済ませ、フォルトはゆっくり
その1週間で心と体を休めて休息を取った。
万全の状態で二人揃って村を旅立つ。
新しい冒険が始まる。