第9章 事後報告と勇者の憂鬱
「今からきっともっといろんな事が
いい方に変わっていく。
フォルトがした事は絶対無駄じゃない!」
そう言い切るルシアリアにフォルトは
ただ胸が熱くなる。
「今から…、そう…だよな」
ルシアリアの言葉で何かに吹っ切れたように
フォルトにも笑顔が戻る。
「それより大変な事があるの!
フォルトは頑張り過ぎてるんだよ!
お休みが必要だと思うの!
息抜きは必要だよ!たまには
休んで好きな事していいと思うの!
ワガママ言っていいと思うの!」
力説するルシアリアにフォルトは
はぁーと溜め息をついた。
「フォルト?」
「これじゃあ、逆だよ」
溜め息をついた後フォルトが
情けなさそうに呟く。
「逆?」
「俺はルアを甘やかすのが
息抜きなの。ルアに慰められてる
なんてカッコ悪い」
「なんで?どんなフォルトも
カッコいいよ!私はフォルトが
私の事想ってくれてる
ってだけで幸せだし」
「ルアは安上がりすぎる。
もっとワガママ言っていいんだよ」
「私が?今はフォルトの話だよ~」
「俺のワガママはルアを
ベタベタに甘やかすこと!」
「何それワガママになってないよ~
私のワガママって言っても。…なら…
もっと…フォルトといれたら幸せ…
かな…だから…いっぱいくっついてたい
…かな」
自分の欲を言うのに慣れてないから
言うのに照れてしまう。
「やっぱり安上がり。俺は
くっついてるだけじゃ足りない
ルアの全部欲しい」
フォルトの熱い想いは膨らんでいくばかり。
その想いが嬉しくて串焼きを持ったまま
両手を広げる。
「もう全部フォルトの物だよ!
全部あげる!」
ルシアリアは素直な気持ちを全部差し出す。
自分の気持ちもさらけ出して
またフォルトが好きという気持ちを
改めて確認できて笑顔になる。
反対にフォルトはまた困った顔になった。
「…ルア、そんなかわいい事言うの
反則。こんな道端じゃ抱けないだろ」
「抱っ…ぐっ げほっ げほっ」
フォルトのセリフに思わず噎せてしまった。
「ルア、大丈夫!?」
「げほっ…ん、大丈夫…」
背中を擦ってもらい何とか落ち着く。