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お人好しは何かと巻き込まれる【R18】

第9章 事後報告と勇者の憂鬱


その時、少し遠くにフォルトが
町の女の子達に囲まれながら
こちらにやってくるのが見えた。

強くてかっこいいフォルトは女の子に
いつだって人気がある。

また心がモヤモヤしてきた。

「何もヤキモチ焼かなくても大丈夫よ!
自分に自信持って!」

そう言ってライラは
ルシアリアを抱き締めてくれた。

「ライラ…ありがとう」

お礼を言って抱き締め返そうと
腕を上げた時、肩を掴まれ
後ろに引かれた。
トンと後頭部が当たったのは
フォルトの胸で後ろに引っ張ったのも
フォルトだった。

「フォルト?どうしたの?」

つい先程まで女の子に囲まれて少し
遠くにいたと思っていたのに
気付いたらすぐ後ろにいて
ビックリした。
しかしフォルトの視線の先は
ライラの方に向けられていた。

「何?取って食いやしないわよ!
ほら!何も心配することないでしょ?」

前半はフォルトに後半はルシアリアに
半ば呆れつつ言う。

「勇者様?そんなに心配なら
目を離さない事ね!さっきも
ガラの悪い奴らに絡まれてたわよ」

「そう!ライラが助けてくれたの」

「そう…か。それは、感謝する。
ルア、恐い思いさせてごめんな」

「どうしてフォルトが謝るの?」

「町に用事があったのも俺で
一人で待たせてしまったのも
俺だから」

「町を見て回るの楽しかったよ。
でも今度は一緒に回ろうね」

ニコッと笑って言うとフォルトも
やっと笑顔になる。

「きゃあぁぁ!笑った顔もステキ!」

先程フォルトの周りにいた女の子達が
近くまで追いついてきて
フォルトの笑顔を見て大騒ぎになる。

フォルトの笑顔は一瞬で消え
無表情になる。

「ここは私が引き受けるからあなた達は
もう用事が済んだなら帰りなさい!」

ライラがルシアリアとフォルトを
村の方に続く出口に向かって
背中を押してくれる。

「ライラ!ありがとう!」

「これで少しでも恩を返せたなら
易いものよ!またね~お幸せに!」

フォルトについていこうとする
女の子達を止めながら二人の幸せを
願ってくれるライラに感謝して
町を出た。

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