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お人好しは何かと巻き込まれる【R18】

第9章 事後報告と勇者の憂鬱


何を見て回ろうかとルシアリアはしばらく
商店街をフラフラ歩く。

いろんな所からいい匂いがしてくる。
服も村では見かけないお洒落なのが
たくさん並んでいて目移りする。
いろんな露天商を少しずつ見て回り
アクセサリーや小物が売っている露天と
串焼き屋に立ち寄った。

歩き疲れ路地に設置されてるベンチに
腰掛ける。そこへ…

「おい、ねーちゃん見かけねえ顔だな」

ガラの悪そうな男二人がルシアリアに
近寄ってきた。

「この町を案内してやろうか」

「いえ、人を待ってるので結構です」

やんわりお断りするがそれで引くような
輩ではない。

「待ち人が来るまででいいからさぁ
ちょっと付き合えや」

強引に手を掴まれ立たされる。
どうしようかと戸惑っていると
また別の声が響いた。

「あなた達!その子を離しなさい!」

そう言って男の手をはたき落として
ルシアリアの前に来たのは
ヴァンパイア事件で関わった
ライラだった。
領主の娘で顔が効くのか男達は
悪態をつきながらも去って行った。

「ライラさん!ありがとう!」

「ライラでいいわ。私も
ルシアリアと呼ばせてもらうわ」

「うん!ライラ助けてくれてありがとう」

久しぶりの再会に二人共喜ぶ。

「町に来てるなんてビックリしたわ。
遊びに来たの?」

「フォルトがギルドに報告に行ったから
待ってるところだよ」

「まぁ!あの勇者様ね!」

「!…勇者…様?」

「魔王を倒したから勇者様!
ヴァンパイアも倒してくれたし
本当にお強いのね!」

勇者と呼ばれてすごいはずなのに
なぜか遠い存在になったようで
複雑な気持ちになる。

「そんな勇者様に溺愛されてるなんて
すごく羨ましいわ」

「へ?」

モヤモヤしてた気持ちがその言葉で
吹き飛んだ。

「あら、付き合ってるのでしょう?
女の私にでさえあなたに抱きついてたら
微妙な顔してたのよ。最初はよく
わからなかったけど、あなたを抱きかかえて
行く後ろ姿を見てたらわかったわ。
村のみんなも勇者様の溺愛ぶりを
語っていたわよ」

「そ、そ、そんな事…」

「あら、証明してあげましょうか?」

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