第6章 人狼族との出会い(前編)
フォルトはヴァンパイア騒動のおかげで
次の日には呼び出され報告書を
書かされたり現場検証をさせられたり
また別の件で呼び出されたりと
何かと忙しい日々を過ごしていた。
ルシアリアも母の病状がだいぶ
落ち着き、仕事も順調にいっているが
フォルトと顔を合わせられない
日々を過ごしていた。
そんなある日の昼過ぎ…
「ルシアリア、これを隣村に届けて
くれないか?」
神父様にお使いを頼まれた。
隣村はオキメ村と呼ばれており
アルク村から歩いて30分くらいの
集落で若くて元気なルシアリアは
よくお使いを頼まれていた。
「オキメ村に行くなら、
これも頼んでいいかしら?」
シスターの一人がついでにお願いをする。
ルシアリアは頼まれれば何でも
快く引き受ける
「はい!行ってきます!」
「最近は人狼族が人に紛れてる時が
あるらしいから気をつけるんだよ」
「わかりました!」
元気良く返事をしてルシアリアは出かける。
人狼族は普段は普通の人と見た目は
全く変わらない。
しかし力が強く、気が昂ぶった時や
満月の夜には人と狼を混ぜたような
姿に変わるという。
噂には聞くもののルシアリアは
会った事もないし、
何かあってもフォルトがいれば
大丈夫と心強かった。
オキメ村は町に近いおかげで
アルク村より少し栄えている。
教会で神父様とシスターのお使いを
済ませるが、アルク村より人も多いせいか
治療する人も多く教会に来ており
ルシアリアも見て見ぬ振りできず
治癒のお手伝いをする。
他にも人手が足りてないのか
いろいろと手伝っていたら
教会を出る頃には夕方になっていた。
帰り道、商業の集まる通りは
夕飯に預かろうとたくさんの人で
賑わっていた。
その中でも暗くなる前から一番
賑わいを見せていたのは
酒場だった。
そんな商業通りを店の雰囲気を楽しみながら
ルシアリアも村に帰ろう歩いていた。
しかし…
ガッシャーン
大きな音がして歩いてるルシアリアの
目の前に酒場から突然
人が吹っ飛んできたのだ。