第4章 ヴァンパイアの気まぐれ
村に帰ってきたのは夜が明けてからだった。
もっと早く移動出来ただろうにルシアリアの
体調を気遣ってくれたようだ。
教会の人達が心配してるだろうと思い、
家に帰る前に教会に寄る。
「ルシアリア!無事だったか!」
「良かった!無事に帰ってきてくれて」
まだ朝早い時間だったが教会には
早く起きて活動している神父や
同僚達がいた。
それにこの事件の発端となったライラ
もルシアリアの帰りを待っていた。
「ごめんなさい!私、他の人を
巻き込むつもりじゃなかったのに…
私の代わりに連れて行かれてちゃって…
本当にごめんなさい!」
ルシアリアの無事を確認するとわんわん泣いて
抱きついてきた。
「大丈夫だよ。ライラさんも恐かった
よね。もう大丈夫!ヴァンパイアは
フォルトがやっつけてくれたから!」
「フォルト…さん。あ、ありがとう
ございます!……はっ!」
ルシアリアの後ろにいたフォルトを
見て一瞬ぽーっとなったが、本題を
思い出しルシアリアに向き合う。
「あなたがあの時庇ってくれて
なかったらきっと私もっとつらい目に
あってた。本当にありがとう!」
目に涙をいっぱいに溜めて心からの
感謝の言葉を伝える。
「うん!みんな無事で良かった!」
お互いの無事を確認し抱きしめ合う。
「挨拶は終わったか?帰るぞ」
頃合いを見計らいフォルトはルシアリアを
ライラから引き剥がし、また抱え上げる。
「ちょっ、フォルト!みんなの前だよ!
降ろしてよ。恥ずかしいよ!」
「無理。充分待った。今度こそ帰ろう」
ジタバタするルシアリアを物ともせず
誰にも有無を言わせない雰囲気を醸し出し
出口に向かう。
「もー!じゃあね!ライラさん!
元気でね~!」
「ありがとう!ルシアリアさん!
この御恩、忘れないから!ありがとう!」
最後の言葉を聞き終わる頃には教会の扉が
閉じていった。