第4章 ヴァンパイアの気まぐれ
十字架に張り付けにしていたロープを
切って、支えをなくして倒れ込む
ルシアリアを受け止める。
「…ん……フォルト…?」
衝撃でルシアリアの目が覚めた。
「ルア!大丈夫か?」
「どうしてここに…っ、ヴァンパイアは!?」
ヴァンパイアの恐怖が蘇り青褪めるが、
フォルトは安心させるように微笑む。
「倒したよ。もう大丈夫」
頬を撫でてくれる手が暖かくて緊張が
一気に解れ涙が溢れ出る。
「フォルト…フォルト、恐かったよ~
助けに来てくれて ありがとぉ」
ボロボロに泣きながらフォルトに
抱きつき生きていることを噛みしめる。
フォルトはルシアリアが落ち着くまで
頭を撫でて抱きしめてくれる。
しばらく泣いて落ち着いた頃、ルシアリアは
自分が真っ裸なのに気付いて大慌てする。
「きゃあぁぁ!フォルト見ないで!…あっ」
照れてフォルトから離れようとしたが
クラっとして倒れ込む。
フォルトはルシアリアをお姫様抱っこして
近くのベッドに座らせシーツを巻いてくれる。
「血を吸われて貧血になってるんだ。
無理して動かないで」
「…ありがとう」
照れてるのが自分だけなのが何だか
悔しいルシアリア。
そんなルシアリアを黙って
フォルトは見ている。
「?フォルト?どうしたの?」
「ベッドにシーツ1枚で座ってるルアを見て
押し倒したくなったのを我慢してるとこ」
すごく真面目に言ってるフォルトにどう
返せばいいのかわからなくてなって困る。
「っ…バカ!」
「うん。……俺もうルアがいなきゃ
ダメなんだ」
優しくギュッと抱きしめる。
「無事で本当に良かった」
「うん…ありがとう」
お互いの無事を喜びキスをする。
「さぁ、帰ろうか」
「うん!」