第22章 悪夢
この日もルシアリアは夢を見ていた。
ヴァンパイアに服を引き裂かれ
血を吸われながら犯される夢。
恐くて起きると夢の内容を忘れてしまう。
あまり眠れず朝を迎える。
ここ数日こんな事が続いている。
「ルシアリア様おはようございます」
ミリーがカーテンを開けに来て挨拶を
してくれる。
「おはよう」
「朝食ができております。2階の食堂へ
お向かいください」
ミリーにそう言われフォルトも一緒に
食堂へ行こうと隣の部屋へ行き
ノックする。
「フォルトおはよう!朝食を食べに
行こうよ」
扉はすぐ開き部屋の中に引き込まれると
同時にギュウと抱きしめられる。
「ルアおはよう。…昨夜も
眠れなかった?」
ルシアリアの様子を見てすぐ気付く。
「また恐い夢を見ちゃって…でも大丈夫」
フォルトがいてくれると安心する。
にっこり笑って元気な事を伝える。
「…最近悪い夢が続いてるな。夢からも
守れたらいいのに…。きつい時はすぐ教えて」
「ありがとう。大好き」
ギュウと抱き締め返し口づけを交わす。
そして2人で食堂へ向かった。
この日はティアナとお忍びで城下町に行き
街を案内してもらった。
ティアナもあまり城下町に来れないようで
2人興奮ぎみに街を回る。
その2人の護衛はもちろんフォルトだ。
楽しそうな2人の邪魔をしないよう
付いて来てくれる。
王女のティアナはもちろん、フォルトも勇者の
称号を貰ったにも関わらず人が集まって
きたり大騒ぎにならない事を不思議に
思っていると認識阻害の魔法を掛けてると
教えてもらった。
ルシアリアも有名になった後もこの魔法が
あればいつでも町に遊びに来れるなと
嬉しくなる。
今日も楽しい1日があっという間に過ぎ
夕方になった。
城での生活もだいぶ慣れ、夕食と湯浴みを
済ませ部屋に戻る。