第19章 王様との謁見
他の病気も治せるかと聞いてきたのは
ルークビルクだった。
ジークベルトに容姿はよく似ている。
違うのは雰囲気が全く異なる。
ジークベルトは太陽が似合うが
ルークビルクは月が似合う雰囲気を
持っている。どちらもカッコいいのに
変わりはないのだが…。
「それは…どうでしょう?病気を
治したのは今日が初めてなので
わかりません」
その言葉にすぐ検証が行われた。
国で経営している病院に行き城に関係
ある者の家族を何人か治癒魔法を
かけてみると王様と同様、病気が
治ったのだ。
一度城に戻りまた皆が集まり
緊急会議が開かれる。
「ルシアリア、お主に聖女の称号を与える」
王様に開口一番にそう言われる。
聖女とはどんな病気や怪我も癒し
奇跡を起こせる者の事をいう。
「え…、いや、そんな…称号を頂けるなんて
恐れ多いです」
「いや、その能力からして決して引けを
取らない称号となるだろう。この称号を
持つことによってそなたの尊厳や立場も
より守られる事になるだろう」
「王様…」
「父上、ちょっと待ってください」
そこに待ったを掛けたのはジークベルト
だった。
「この能力は本当に素晴らしすぎる。
だが脅威でもある。…聖女となったら
この治癒を求めて国中から人が
押し寄せるだろう。
それに仕事を奪われた医師が暴動を
起こしたりルシアリアの能力を独占しようと
する者や金儲けに利用とする者も
出てくるだろう。
ルシアリア、あなたは今後どうしたい?
今なら城の関係のある者しか知らぬ
事実だから緘口令が敷けるが…。
これを知られるともう静かに暮らす事は
きっとできないよ」
ジークベルトが今後起きるであろう事柄の
事例を出してルシアリアに判断を委ねる。
「私は…」