第19章 王様との謁見
「褒章は称号と褒賞金しか
受け取らなかったが良かったのか?
土地や屋敷、地位も望むままに
もらえるというのに…」
与えたい褒賞を断られ少し不満のある
王様。
「はい。土地や屋敷を頂いても管理
出来ませんし、地位を頂いても余計な
しがらみに縛られるだけなので
称号と褒賞金を頂けただけで光栄です」
「なんなら我が娘を嫁にやっても良いぞ?
息子の方もルシアリアを気に入っている
ようだし…」
その王様の言葉にルシアリアは慌てるが
フォルトは冷静に対処する。
「それは丁重にお断りさせて頂きます。
私はこのルシアリアと婚約を結び近いうちに
結婚しようと考えてます。褒美をお考えなら
2人の婚約を盛大に発表し見守って頂ける
だけで充分でございます」
「そうかそうか!なら希望通り婚約を
公表し見守るとしよう。…ゴホッゴホッ」
王様は豪快に笑おうとして咳き込む。
ルシアリアも心配で見守っていると王様の
胸辺りに黒いモヤが見えた。
ドス黒くて嫌な感じがするモヤが王様の
胸から出ているようだ。
「王様…御無礼を承知で尋ねますが…
胸を患ってますか?」
「ゲホッ…ん゙ん゙っ…あぁ…国民には
公表してないが…肺を少しな…」
今までこんなモヤを見た事はなかった。
でも見えるという事はもしかして…
なぜだかわからなかったが治せるような
気がして王様にお願いしてみる。
「王様…治せるかわからないですが、
治癒魔法…掛けさせてもらえませんか?」
「治癒魔法じゃこの肺の病は治せんよ。
いろんな治癒士にやってもらったが…
やはり病気はな…」
「どうか私にもチャンスをください!」
諦めて悲しい顔の王様に無礼と
わかりながらも懇願する。
その必死な様子に王様も折れる。
「治癒士の使命のようなものか?まぁ
やるだけやってみよ」
「はい!ありがとうございます!」