第18章 王都の1日目
「綺麗なドレス!でも、どうして?」
「…俺が王様に謁見する時にジークを
助けたお礼を伝えたいからこれを着て
一緒に来てほしいってさ」
箱についてた手紙をフォルトが読んで
教えてくれて初めて王様に謁見するのに
普段着じゃ失礼に当たるという事に
今更ながらに気付く。
「そっか!正装して行かなきゃ
いけないんだね!ドレスなんて
持ってないから助かったぁ」
「いや、これは送り返す」
「え?」
「ルアをあいつ色にされてたまるか」
「どういう事?」
「王都では男が女にドレスを送るのは
自分色に染めたいというメッセージでも
あるらしいんだ。あいつ、諦めるとか
言っておきながら油断ならないな」
「ただの善意じゃないかなぁ?」
「いいや、あいつはあぁ見えて腹黒い
ところがあるから、これは返す!」
「うん。それはいいけど正装とか
持ってないよ。どうしよう…」
「それは大丈夫。今から買いに行こうと
思ってたんだ。
既製品になってしまうけどサイズを
合わせてもらってアクセサリーを
つけたら大丈夫だろ。
…というか、あいつは何でルアの
ドレスのサイズがわかってるんだよ」
ここにはいないジークベルトに腹を立たせる
フォルト。
「買わなくても借りるだけでもいいんじゃ
ないかな…?そんなに着る事ないだろうし」
「それだと俺の気が済まない。俺が送るから
俺の色に染まってよ」
「…うん。ありがとう」
2人で街に出掛けて見た事のない店や
人の多さに圧倒されながらも
仕立て屋に行く。
後は店の人にされるがままフォルトの
好みに合った服を何着も試着させられる。
途中、王族についての話を世間話として
聞いたところによると
現国王には子供が3人おり
第一王子はルークビルクという名で
魔力が高く、貴族とも繋がりがあり
政務に携わっているらしい。ただ
不気味な噂が広まっているらしい。