第17章 蜘蛛の残党
ジークベルト達、王国騎士団が
もう少しで王都に到着するという時に
ドラゴンの目撃情報が入った。
ものすごいスピードで王都へ近付いて
帰還途中の王国騎士団はもちろん
王都の見張りに立っていた警備兵は
ドラゴンが攻めてきたと思い警戒態勢を
取ろうとして、その心配が杞憂に終わり
ドラゴンがすぐにいなくなった事に安心する。
何事だったのだろうと王都の南門へ
ジークベルト達、騎士団が急いだ先で
待っていたのはここにいるはずのない
ルシアリアとフォルトだった。
「勝負は俺の勝ちだな」
腕を組み馬上のジークベルトを不敵に笑い
見上げるフォルト。
「どうしてここに……さっきのドラゴンか!」
「そう、何をしても俺だって譲れない
ものがあるからな」
本当はギーニ達のゴリ押しのおかげ
なのだがここは勝ち気でいく。
「ドラゴンまで味方につけるなんて
反則だろー」
「おまえが急に変な勝負を吹っ掛けるのが
悪い」
「……僕の負けだよ。君が相手だったのが
運の尽きだ」
お手上げというように両手を上げる
ジークベルト。その言葉にフォルトと
ルシアリアはホッとする。
「でもルシアリア、もしフォルトが嫌に
なったらいつでも僕のところに来て
いいからね」
「そんな事はないから安心しろ!」
諦めてホッとしたところにこのノリで
ルシアリアの肩を抱き寄せる。
「あぁ、もうそんなに見せつけなくても
大丈夫だから。それよりこの後、王城に
フォルトもくるんだろ?」
「いや、一度ギルドに行ってから宿で一晩
ゆっくり休んで明日行くよ」
「わかった。城の者に来る事を伝えて
おくから」
「盛大な歓迎は止めるよう伝えててくれ」
「本当に…欲がないなぁ」
「目立つのが嫌いなだけだ」
「はいはい。じゃあ、また明日」
軽く手を振り王城に向けて帰っていく
ジークベルト達。
「じゃあ、俺達もまず宿を探そうか」
「うん!」
ジークベルトの件が一先ず片付き
ルシアリアは初めての王都にワクワク
してきた。