第17章 蜘蛛の残党
甲冑で顔が隠れていた為、誰だか
知るはずもないがそう言うという事は
身分が高い人なのだろう。
「…すみません!王都の騎士団なら身分の
高い方ですよね。失礼な事をして
しまったかも…です?」
突然慌てるルシアリアを見てジークは笑う。
「いいや、何も失礼な事はされてないよ。
むしろそのまま畏まらないで
ほしいのだけど…」
ルシアリアの右手を取り手の甲に唇を寄せる。
「相手が誰であろうと人を救おうと動く
心綺麗な君に最大限の感謝を…」
歯の浮くようなセリフに何も返せず
真っ赤になって固まってしまうルシアリア。
本当に王子様のような人だと思った。
「君のおかげで命が助かったし
傷も治ったよ。ありがとう」
「はい……良かったです」
助かったなら崖に飛び込んだかいがあった
と嬉しくなって微笑む。
するとお尻の下に硬い物を感じる。
これはフォルトの膝の上に座ってた時に
感じた事のある感触である。
そういえばジークに抱えられたままだったと
いう事に思い至り慌てる。
「あの、その、あなたの膝に乗ったままで
すみませんでした。すぐ退きますから」
「すまない。生理現象だ。君の笑顔を
見てると自然に…」
「え…?あっ私…!」
毛布を取ると下は裸で、ジークも下着は
着てるが肌が密着しているという事に
今更ながらに気付き慌てる。
膝から降りて慌てるルシアリアにジークは
ルシアリアが身につけていたマントを
魔法で乾かしてあげていたので
肩から掛けてあげ自分も服を着た。
そこに慌ただしく足音が聞こえてきた。
二人して警戒しながら扉を見ると勢い良く
扉が開け放たれる。
「ルア!」
汗だくになって駆け込んできたのは
フォルトだった。
「フォルト!」
「ルア!良かった!無事だった」
ルシアリアを力いっぱい抱き締める。
「ごめん。心配かけてごめんね」
抱き締め返し無事に会えた事を喜び合った。