第17章 蜘蛛の残党
「ん…」
「気がついた?」
少女、ルシアリアはボヤァとした意識の中
目に映る人を見て呟いた。
「…良かった…生きてた…」
そしてその人が怪我をしてるのが見えたので
いつものように手をかざし治癒魔法を
掛けた。温かい光が灯り傷が治っていく。
ルシアリアは魔力を使い果たして
力尽き再び意識を失った。
「君!大丈夫か!?君…」
目は覚まさなかったが規則正しい呼吸を
繰り返している事に安心する。
(自分だって怪我をしてるのに僕の治療を
してくれるなんて…)
まだ体は温まっていなかったが胸が無性に
熱くなった。
ルシアリアの目が覚めると間近に知らない
男性の顔があった。
目を瞑り寝ているようだ。
抱きかかえられてるようで動けない。
ジタバタしてると男性が目を覚ました。
「目が覚めたんだね。良かった。
調子はどう?」
そう聞かれて崖から二人で落ちた事を
やっと思い出す。こういう時、治癒能力が
高くて本当に良かったと思う。痛みは
特に感じない。
「私は…大丈夫です。あなたは大丈夫?」
「僕の名はジーク。君のおかげで助かった。
ありがとう。まずは君の名前を
聞いてもいい?」
ここで改めて顔を見ると金髪碧眼の
イケメンである事に気付いた。
フォルトもイケメンだがまた種類の
違うイケメンである。まるでおとぎ話に
出てくる王子様のようにカッコいい
顔立ちをしていた。
こんなカッコいい人がいるんだな~と
感心しながらも名前を名乗る。
「私はルシアリア。こちらこそありがとう。
川から上がるの大変だったでしょう?」
「君が崖から飛び降りてくれたのに比べれば
敵わないよ。それとも僕が誰だかわかってて
飛び降りてくれたのかな?」
「誰…?いえ、体が勝手に動いてしまって…」
この考えなしに動いてしまう癖を直さないと
と反省するルシアリア。