第16章 小さいな呼び声
フォルトは身構えたがそれを
ルシアリアが止める。
「フォルト、待って!妖精の友達なの」
「妖精!?この光が?」
フォルトには声は聞こえるものの
ただの光の塊にしか見えない。
フォルトも妖精を見るのは初めてだった。
「ルシアリア、無事で良かった。
ごめんなさい。何も出来なくて…」
「ううん。二人共無事で良かった」
エカテリーナとフィアを手の平に
乗せ無事を喜ぶ。
しかし二人の顔は曇っていく。
「ですが、仲間が…命は何とか
助かったものの妖精にとって第2の命
と言っても過言ではない羽根を
失ってしまい…」
少し離れた場所に他の妖精が集まっていた。
その中で泣いている妖精が3人みんなに
囲まれていた。
途方にくれ泣き叫ぶ3人。どうしようも
なく寄り添い一緒に泣く妖精達。
「…上手くいくかもわからないけど…
治癒魔法…掛けてもいい?」
泣いている妖精を放っておく事など
できずにルシアリアはそう申し出てた。
失った物を元に治す事例なんて今まで
聞いた事がなかったが試さずには
いられなかった。
エカテリーナは了承し泣き暮れる一人を
ルシアリアの元に連れてきてくれた。
両手をかざし治癒魔法を掛ける。
何もない背中に妖精の羽根を再生するよう
思い浮かべながら力を注ぐ。
いつもより集中し注ぐ魔力も多く必要だ。
温かい光が満ちて妖精の背中に集まる。
光が収まるとその背中には羽根が戻っていた。
妖精は信じられないように自分の背中を
振り返り羽根を動かし確認する。
「羽根が…元に…戻ってる!」
またも涙を流して喜ぶ。回りの妖精も
歓喜の声を上げる。
残りの二人も不安そうにルシアリアの
元へ近寄ってくる。
ルシアリアは、にっこり笑い魔力の限界まで
使い果たし同じように羽根を治してあげた。
3人共治し終わると妖精達がルシアリアに
群がるように集まり感謝を伝えてくれた。
近くで見守っていたフォルトには
ルシアリアがたくさんの光に囲まれてる
ようにしか見えないがルシアリアも
一緒に泣き笑いしてるのを優しく
見守り続けた。