第16章 小さいな呼び声
糸が襲い掛かりルシアリアは思わず
目をギュッと瞑ったが何も衝撃は来ない。
目を開けるとフォルトが炎の魔法で
森を燃やさない程度の威力で
糸を燃やしていた。
「くっ、くっそがぁー!」
糸では敵わないとわかりタランチュラ
自身がフォルトに襲い掛かる。
それも一瞬だった。
剣をいつ振ったのかもわからないまま
タランチュラは体がバラバラになっていた。
「なんなんだ、おまえはぁ!こんなっ
こんなはずじゃないんだぁ。俺の仲間は
まだまだいるからなぁ。只じゃ済ませねぇ」
バラバラになっても意識がしっかり
しており喚き散らす。
その近くに配下であろう小さめの
タランチュラがたくさん寄ってくる。
「おまえ達、俺を助けろ!」
これで逃げられると少しの希望が湧くが
たくさんのタランチュラ達は助ける
為に寄ってきたわけではなかった。
バラバラになった体を食べ始めたのだ。
「なんだ!?おまえ達!食べるな!
食べるんじゃない!止めろぉぉぉ」
弱った動けない体では、たくさんの
タランチュラを支配する事は出来ずに
異質なタランチュラは断末魔と共に
敢え無く消えていった。
その光景を自分の身で隠しルシアリアに
見えないようにフォルトが抱き寄せる。
そして、たくさんのタランチュラ達は次に
ルシアリア達に目標を変える。
それをフォルトは剣と魔法を使って
あっという間に薙ぎ払った。
「とりあえず、この辺りはもう大丈夫。
ルア、怪我はない?」
「フォルト…うん、大丈夫。助けに
来てくれてありがとう」
お互いの無事を確認し合い抱き締める。
「ルシアリア!」
そこへ光の塊が二つ近づいてきた。