第16章 小さいな呼び声
その言葉にやっと止めてくれるとかと
思ったが次の瞬間、手首の紐がグッと
持ち上げられ、またすぐ下に
落とされて奥深くに瓶が入り込む。
「きゃあぁぁ…っ あぁっ やぁぁっ」
上下に糸を動かし瓶が蜜壺の中で
出入りする。
瓶が抜かれそうな所で止まり奥深くに
差し込まれるとじゅぶじゅぶと
音を立て愛液が溢れていく。
「おぉ溜まってる溜まってる!もぅ
ちょっとだなぁ…」
「やぁ 止めてっ…フォルトっ!
助けて…フォルト!」
そう叫んだ次の瞬間、目の前の瓶を
持っていたタランチュラの左手が
手首辺りで切り離された。
「ぎゃあああ!!!」
瓶はルシアリアの蜜壺から抜け、瓶を
持ったまま切り離された左手と一緒に
下に落ちて割れ粉々になった。
左手が切り取られ叫ぶタランチュラ。
ブツッと大きな音がしてルシアリアを
吊るしていた糸が切られ重力に従い
倒れそうなところを抱きかかえられる。
「ルア!大丈夫か」
「フォルト……フォルトっ!」
フォルトを見て安心し涙が溢れる。
ルシアリアが自分の足で立ったのを
確認してからフォルトは自分の
マントを取って肩から掛けてくれた。
「なんだ!おまえは!」
怒りに駆られ逆上するタランチュラ。
「おまえこそ、なんだ?おまえのような
魔物は初めて見た」
切られた左手首を抑えながらもその問いに
薄気味悪く笑う。
「そりゃあ、そうだろうな。
俺は元は人間だ。研究が大好きで
いろんなヤバイ薬を作って
研究所を追い出されたが…
ある日、魔物と融合出来る薬が完成したら
試したくなってなぁ。タランチュラで
試してみたら大成功。俺ってやっぱり
天才だったわけ。
おまけにタランチュラ共を支配出来て
研究の為の材料集めによく働いてくれて
最高だよぉ。邪魔ぁしないでもらおうか!」
タランチュラの体から糸が吹き出て
ルシアリアとフォルトに襲い掛かる。