第15章 ドラゴンとの協定
「私達がここに来たのは加護をあげる
だけじゃなくて、呼びに来たのよ」
騒いでいる男子二人を放っておき
ルシアリアと話し始めるシェーラ。
「何かあったの?」
「今からあるのよ。外に出たら
わかるわ。さぁ行きましょう」
男子二人を置いて行こうとして慌てて
二人はついてくる。
宿を出ると昨日と打って変わって
村中総出で宴が開かれていた。
所々にたくさんのテーブルと椅子が
置かれ皆それぞれ料理を持ち寄り
楽しんでおり村中が賑やかな
雰囲気に包まれていた。
「今日はお祭りの日だったの?」
「違うわ。私達ドラゴンと協定を結べた
お祝いですって」
「協定?」
「昨日、あれから村長さんの所に行って
ギーニが謝罪したらドラゴンが謝りに
来るなんて思ってもなかったようで
大騒ぎになったわ」
シェーラが説明しながら村の中を進むと
村の人達はギーニとシェーラを見て
頭を下げたり手を振ったり羨望の眼差し
で見てくる。
先に行くシェーラについて行き
人が集まって来る前に移動する。
「今回の事はもういいから、これからも
ここにいて村を見守っててくださいって
言われたわ」
「謝罪しに来たのに許してくれるどころか
歓迎してくれてな。人間は我を見る目が
あるな!」
「でもただそれだけで今回の事が許されると
思いたくないから壊れた所の修復や片付けも
手伝っていくつもり。そしてここを見守って
いくのはリューマ火山に住み続ける私達にも
何も問題ないから協定を結んだの」
「これからは手を取り住み良い村にして
行こうとな!」
「私達があそこにいるだけで村にはいい
利益が出るみたいだし特に何もしないけど
人の物は壊しませんって約束して
何か困ったらお互い助け合おうって事で
平和協定を結んだの」
「平和協定…」
「本当はもっと複雑な…和平…安保…?
何とかって難しい名前だったんだけど
ギーニがそんな覚えられない難しいのは
嫌だって駄々を捏ねたら簡単に
平和協定にしましょうってなったの」