第15章 ドラゴンとの協定
「シェーラが迷惑をかけたな。そして
我も世話になった。我があんなに
負傷した事など生まれて初めて
だったから真に感謝する」
ギーニが改めてお礼を伝えルシアリアの
額にキスをする。
「なっ…!?おまえ!」
あまりに一瞬の出来事でルシアリアも
フォルトも不意をつかれた。
「あっ…!」
ルシアリアの全身がホワッと淡く光る。
この感覚は味わったことがある。
「フォルト、待って」
ギーニの胸ぐらをつかむフォルトを止める。
「何か…加護をくれたの?」
「そうだ。治癒の礼に我の加護をやろう。
お主は騙されやすそうだからな見透す目、
龍眼の力を使えるようにしてやったぞ」
「龍眼…?」
「人を見極めたり、嘘か本当かわかったり
人には見えない物が見えたり…役に立つ
はずよ」
シェーラが龍眼の説明をしてくれる。
「感情が先走って我らも使いきれて
ないがな」
ガハハと豪快にギーニが笑う。
特に見方も変わらないし何も変わってない
ように思えるが、加護をもらえるなんて
ありがたいとお礼を伝える。
「貴重な加護をありがとう」
「俺には?俺はおまえに勝ったんだけど」
ギーニにのしかかりフォルトが圧を
かける。
「お主は何もやらなくてももう充分
強いだろう!敵に塩は贈らん」
「待てと言うのに勝負を受けて
やっただろうが」
またフォルトとギーニの言い争いが
始まりそうになって…
「…なら私からご褒美あげましょうか?」
スリッとフォルトの後ろから体を擦り付けて
きたのはシェーラだ。
「駄目だ駄目だ!」
「わぁ~フォルト…っ」
その妖艶な仕草に即座に反応したのが
ギーニとルシアリアだった。
「シェーラは我のツガイだろう!他の男に
近づくな!褒美は我が考えてる!」
その言葉にニッコリ笑ってシェーラは
フォルトから離れる。
ギーニが素直にならないから起こした行動と
わかってルシアリアもホッとする。
ギーニは徐ろに赤い勾玉のような石を
フォルトに投げた。
「一度だけ…我を呼び出せる。滅多な
事で呼び出してくれるなよ」
「…あぁ、呼び出してこき使ってやる」
「やっぱり返せ!」
「やだね!」
わぁわぁ言いながらも仲良くなった事に
ルシアリアは喜んだ。