第13章 勘違いから…
ギーニは圧倒的な力の前にボロボロに
なりながらも目の光を失う事なく
何とか応戦していた。
その対応に苦戦しつつもフォルトは
ルシアリアの元へ行かないとという
思いでトドメを刺そうと剣を
振り上げた瞬間、真上から
声が聞こえてきた。
振り仰ぐと会いたくて仕方なかった
ルシアリアが舞い降りてくるではないか。
度肝を抜かれつつも受け止めようと
剣を手離し両手を広げると
高速で落ちてきていたルシアリアに
風が纏いゆっくりフォルトの
元へ降りてきた。
空にいるシェーラが魔法を使ってくれた
ようだ。
無事フォルトの元へ降りてきて
抱き締め合う。
「フォルト!」
「ルア!会いたかった!怪我は?
危険な目に合ったんじゃ…」
「私は大丈夫。シェーラが助けてくれ…」
「ギーニ!大丈夫!?しっかりして!」
シェーラも地上に降りて人の姿になり
ギーニに駆け付けた。
ギーニは意識はあるものの全身負傷して
血塗れで息も絶え絶えになっていた。
「いやぁーギーニ!死なないで!」
「殺すな。この程度じゃ死なない」
そう言うものの全身傷だらけの
血塗れで立っているのも限界の状態で
シェーラに支えてもらいながら
その場で横になる。
「今、治癒するから!」
「あなた治癒魔法が使えるの!?
お願い、ギーニを助けて!」
「くっ…敵の施しなど…」
「怪我してる人に敵も味方もありません。
黙って治療させてください」
ルシアリアはギーニの元へ行き体の
上に手をかざす。
正直言ってこれ程の重症だと治すのは
難しいし時間がかかる。しかし
シェーラの大事な相手の為に
出来る限りの事をしようと
手の平に力を込める。
優しい光が満ちてギーニの体を
包み込む。
「んっ…あれ…我は…」
傷が深くて意識が朦朧としていたのに
治癒魔法で完全に回復していた。
「嘘…こんなにすぐ治るなんて…」
治癒魔法を掛けた自分でも
信じられない出来事だった。