第2章 黒の暴牛
「す、すごい…。こんなに人が…。」
バネッサ「あら、城下町は初めて?」
「は、はい。村にいた頃に城下町に来ることは無かったので。」
バネッサ「じゃあ今日は思いっきり楽しみましょう〜。」
バネッサとコムギは生活に必要なものを一通り揃えていった。
そして最後は………
バネッサ「最後は服ね〜。こんな可愛い子の服を選べるなんて楽しみだわ〜。」
バネッサは、あれよこれよとコムギに色々な服を着せていく。
ミニスカートにズボン、カーディガンにパーカー等。
ただバネッサは服を決めきれない。
なぜなら…
バネッサ「…なんでも似合うのも大変ね〜。」
コムギは容姿が良く、なんでも似合ってしまう。
そのため、服が決めきれない。
バネッサ「コムギはどれが好きだった?」
「え、私ですか?」
バネッサ「そうそう。最終的には自分が好きな服を着るのが1番だからね。」
「うーん。」
今までコムギは同じような服2・3着を着回していた。
そのため服を選ぶという習慣がない。
バネッサ「好きな色とかは?」
「それなら白が好きです。」
バネッサ「なるほどね。じゃあこれは?」
バネッサが着せてくれたのは、クリーム色のブラウスに白のミニスカート。
それに茶色のロングブーツを合わせたものだった。
それはコムギの好みにピッタリ合っており…
「か、かわいい…。」
バネッサ「似合ってるわよ〜!」
「こ、これにしたいです!」
バネッサ「うんうん!じゃあそのまま来て帰りましょう!あとは変えの服も欲しいわね。」
洋服を選ぶというコツを掴んだのかコムギはキラキラした目で他の服を見ていく。
バネッサ(…やっぱり年頃の女の子ね。)
10歳という年齢にしては大人びているコムギ。
そんなコムギのことを少し心配していたバネッサ。
無理をしているのではないか、と。
しかし服をキラキラした目で選ぶコムギを見て安心する。
コムギにとって素を出せる場所が増えますように、と。