第17章 いや別に来るのは構わないけどさ……
「いただきます……美味しい」
「オーツ麦を使用しているので、身体にも優しいんですよ。これなら普段来られないポムフィオーレ寮生の方達も、軽食としていいかもしれませんね」
「素晴らしい……本当に素晴らしいですよ記子さん! 是非……むぐっ!」
「はいはい、レシピは後でお伝えしますから今は美味しいうちに召し上がってください。ホットサンドはホットなうちに食べるから美味しいんですよ?」
「っ……はいっ」
余程気に入ったのか、凄い勢いで食べるアズールの口を軽く拭きながら、同じく負けじと食べるグリムの口も拭いてやる。
次はマナーを教えてあげないといけないみたいだな、まあ作る側としては美味しいって食べてもらえるのはこれ以上ない光栄だけど。
「ご馳走様でしたなんだゾ!」
「偉いね、ちゃんとお皿持って行って。また作ってあげるからね」
「おう! オレ様の元気の源は、親分のホットサンドなんだゾ!」
「ご馳走様でした、記子さん。あの……もし良ければ持ち帰り用にもう一つ作っていただけませんか?」
「いいですけど、一つでいいんですか? どうせならジェイド先輩とフロイド先輩の分も用意しますけど」
「いえ、フロイドはともかくジェイドはいりません。目の前で食べて、日頃の鬱憤を晴らしたいので」
いやあのウツボどんだけ毎日煽ってんだよ、たった一回の事でここまで語れるっているのも凄いけど、怖いわ流石に。
あれ、これ遠回しにまた食べたいなって言われてるやつかな?
ジェイドさんならやりかねないな……遠回しに気持ち伝えそうなタイプだし。
「じゃあアズール先輩とフロイド先輩の分だけにしておきましょう」
「ええそうしてくださいこれで日頃の鬱憤を晴らすことが出来ます」
「余程酷い煽りを受けていたんですね、心中お察しいたします」
「本当に酷いんですよ、朝起きて顔を合わせた瞬間から始まるんです……これで本当に清々しますよ」
「なら、これから毎日アズール先輩に作りましょうか?」
「え……本当ですか?」
「私は構いませんよ、是非召し上がってください」
「お願いします!」
アズール、余程ホットサンドが気に入ったんだな。
そう言って貰えて嬉しいよ。
グリムの分ばっかり作ってたけど、一人分くらい増える分には問題ないからね。
