第17章 いや別に来るのは構わないけどさ……
「アズール先輩、また遊びに来てるんだゾ」
「……え、グリムさん今なんて言いましたか?」
「アズール先輩、また遊びに来てるんだゾって言ったんだゾ」
「アズール先輩……ですって?!」
「親分に、先輩にはちゃんと先輩をつけて呼びなさいって言われたんだゾ。親分の言うことは絶対なんだゾ!」
まあ、普段のグリムなら考えられないようなことを言ってるからね。
目を見開いて驚いてるアズールの横で、せっせとホットサンドの材料を切っていく。
「親分、オレ様も何か手伝いたいんだゾ!」
「率先してお手伝いしようとして偉いねグリム、じゃあこれを処理してもらえる?」
「むぐっ……んー美味いんだゾ!」
「良かった、グリムが美味しいって言うならちょうどいい味付けって事だからね。一緒に食べるでしょ? 火を使うから離れたところで待っててね」
「おう! オレ様その間掃除してるんだゾ!」
「信じられない……あのグリムさんがこんなにも率先して……! 記子さん、貴女やはり只者ではありませんね」
そうこうしているうちに、三人分のホットサンドが出来上がった。
確かアズールは、日頃カロリー計算をしながら食事をしているから野菜を多めにして、パンもオーツ麦タイプのものを使用しておいた。
これなら通常のホットサンドよりもヘルシーになるし、計算もそこまで狂わないだろう。
グリムには照り焼きチキンとツナを交互に挟み込んだホットサンド。最近のお気に入りらしい。
私はなんでもいいから、残った食材を詰め合わせたものだけど。
「はい、出来上がり。出来たてなので気を付けて召し上がって下さいね」
「親分これ、オレ様が最近好きなやつなんだゾ!」
「そうだよ、グリム最近こればっかり食べてるもんね」
「これは凄い……! 記子さん、差し支えなければモストロ・ラウンジのメニュー開発に携わっていただけませんか? 是非貴女の力をお借りしたいんです」
「構いませんけど、正直食堂で出されているものの方が美味しいと思うのですが……」
「オレ様、親分の作るホットサンドしか食いたくねえんだゾ! 後、オレ様型のハンバーグも好きなんだゾ!」
毎週金曜日に作る、猫型ハンバーグだな。
一週間頑張ったご褒美として作ってあげてるやつだけど、そんなに気に入ってくれてるんだね。