• テキストサイズ

ブラック企業より楽だろなめんな(ツイステ)

第16章 商売をするなら……


そんな事を考えてたら、急に後ろから凄いでかい声で呼ばれた。

振り返るまでもない、アズールだ。

いや今まで何をやってたんだよほんと。

仮にもここの責任者なら、責任者としての意識を強く持てよな。



「記子さん! これは一体どういう事ですか!」

「それはこちらのセリフなんですけど、私は一体いつまで料理とドリンクを待てばいいんでしょうか。

それと、新人の指導係の二人はどこに行ったんですか?
貴方達の店は客に新人教育をさせるんですか、随分と強気なお店ですね」



興奮しているのか、私の話は一切聞かず、アズールはつかつかと私に近付くと急に手を握ってきた。



「素晴らしい……素晴らしすぎますよ記子さん!

本当に貴女はことごとく僕の計画を狂わせてくれますね!」

「……はい?」

「いや、今はもうどうだっていい……記子さん! 是非常勤スタッフになってください、もちろん対価は支払いますので!」



何があったのかは知らないけど、正気を失っている今なら好都合だね。

敢えて笑顔を作り、私はアズールの手を握り返して言った。



「もちろん喜んで協力させていただきます。アズール先輩をお助けしたいので、是非」

「っ……ではっ!」

「ただ、役立たずの従業員達に囲まれながらですと、スムーズに手伝えません。

なので、私の労力を引き換えに彼らを解放していただけませんか?」



私からの提案に、アズールは目を見開いて固まった。

それはそうだ、今私はとんでもない事を言っているのだから。

だが、ここで引き下がりはしないよ。

交渉は得意な方なんでね。



「役立たずは役に立つものの妨げになってしまいますし、時間や労力は有効活用してこそ儲けに繋がるものです。

アズール先輩が積み重ねてこられた努力に報えるよう、全力でお手伝いさせていただきたいので、そのためにも解放しては頂けないでしょうか」



相手の心境に寄り添いながら、判断を揺さぶっていく。

ただ、これだけだと、アズール側のメリットが少ないだろうから、ここで最後の切り札を出すとしよう。

イソギンチャク生達を完全に庇いたいわけじゃないからね。

こいつらにもきちんと反省してもらうよ?
/ 61ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp