第12章 大方想像通りだけどさ……
「記子さん、こんにちは」
食堂でグリムと一緒にホットサンド食べてたら、横からぬっとジェイドさんが現れた。
まあ何となく声掛けられるだろうなって思ってはいたけど、もっと普通に話しかけてくれない?
「こんにちはジェイド先輩、隣どうぞ」
「ありがとうございます、席を探していたんですが、記子さんが見えたので」
いや、周り結構席が空いてますけどね。
というより貴方を怖がってみんな席を立ってるんじゃないかと思うのですが。
そういう分かりやすい嘘はつかない方がいいですよ、警戒されるだけなんで。
「てっきり最初から私に用事があるから声をかけたのだと思っていましたが、気の所為だったみたいですね」
「……おやおや、気付かれていましたか」
「気付かれる事も想定内だったのでは? その辺りちゃんと把握なさった上で声掛けて来られるでしょう?」
流石に驚いたのか、目を見開いて私を見るジェイドさん。
社会人の洞察力なめんなよ、ガキに言い負かされる程私は落ちぶれてないから。
「さ、折角声をかけてくださったんです。お話聞きますよ?」
「……最近色んな方に勉強をお教えになっていると聞きました。是非僕にも教えて欲しいのですが」
「……成程、アズール先輩から調べるように言われてきたんですね。心配せずとも貴方達の”邪魔”になるような事はしませんよ」
「!」
「あくまでも、”私と深く関わりのある人”だけに教えていますから」
グリムの頭を撫でながら、私はジェイドさんに向き直り、持っていたホットサンドをぽかんと口を開けて私を見るジェイドさんの口に入れる。
「それは声をかけてくださったお礼です、アズール先輩に困り事があった際には”何時でも手助けする”とお伝えください」
静かに席を立ち、エーデュース達が待つ図書館へと向かった。
本当に厄介な人魚に目をつけられたものだね。
ちょっと派手に動き回りすぎたか?