第11章 なんだかんだあったが、その後は平和に過ごしていた……
「マジで頼む記子! 俺このままだと赤点になっちまう!」
「君が赤点になるのと私の生活とに一体どのような因果関係があるのかを説明してもらえる?」
出会い頭に土下座をされ、勉強を教えてくれと懇願するエースを前に私は冷酷な目を向けていた。
勉強を教えること自体は構わないのだが、彼の場合最初から私に頼ってくるから気に入らない。
勉強ってのは、まず自分でやってみるもんだろうが。
その上で分からないってなった時に教えを乞うもんなんだよ。
「てか! なんでデュースは良くて俺はダメな訳?」
「デュースは自分でやってみて本当に分からないところが出来た時に聞いてくるからだよ。あんたと違って最初から私に頼りっきりにしようとしていないから」
「だってどうせやったところで分かんねえんだしさ……」
「エースにも、理解出来るところがあると思っていたんだけど……評価を改める必要があるようだね」
「うっ……わーったよ! じゃあ俺が本当に困ったら教えてくれよ?」
「人に物を頼む時の態度も勉強した方がいいんじゃない?」
「教えてください!」
「よろしい、んで今の時点で何が分からないの?」
まあ、エースも一生懸命なのは分かるから……多目に見てやろう。私もすっかり甘くなったな。
「親分、答え合わせして欲しいんだゾ!」
「グリム、前より速くなったね。うん、上出来だよ! これなら高得点目指せそうだね」
「本当か! じゃあ親分のホットサンドまた食べれるか?」
「もちろんだよ、テスト頑張ったご褒美も兼ねて豪華なやつ作ってあげる」
「にゃっふ~! オレ様頑張るんだゾ!」
グリムはすっかり真面目になったな、イタズラというかトラブルメーカーなグリムも可愛いっちゃ可愛いんだけど。
どうも私の性格上、真面目にしちゃいたくなるんだよな。