第8章 リリア先輩と話していると……
「ん~美味しい」
「親分の作るサンドイッチは世界一なんだぞ!」
疲れた時は黄金糖を食べるに限るね、野郎を相手にするとどっと疲れるわ。
社畜時代は何度も黄金糖に救われたな……イライラするたびに黄金糖を食べては、おじいちゃんとの思い出を思い出して顔をほころばせてたっけ。
グリムはサンドイッチを頬張って幸せそうだし、このまま平和な時間が過ごせたらいいな。
「……頭に血がのぼりますよ」
「おっと、気付かれておったか。お主なかなかやりおるな」
「ふなっ! 誰なんだゾ!」
平和ではあるけど、リリアさんが来ちゃったよ。
「ワシはリリア・ヴァンルージュじゃ。お主らは確か記子とグリムじゃったか」
「初めまして、リリア先輩。お名前覚えていてくださり光栄です」
「美味しそうなものを口にしていたのでな、驚かそうと待っておったが……気付かれていたとは」
「良ければ召し上がりますか? 黄金糖という飴なんですけど」
「……ほう、美味じゃな。マレウスが好みそうな味じゃ」
え、マレウスさんって氷菓子が好きなんじゃなかったっけ?
黄金糖は氷じゃないし、好みが分かれる味だとは思うんだけど。
「では、そのマレウスさんにも渡してあげてください」
「マレウスに贈り物か、あやつ喜ぶじゃろうな。ワシから渡しておこう」
「ありがとうございます。
お気に召していただけたようでしたら、今度は私が直々に届けに行くとお伝えください。
作り方……いえ、何でもありません」
忘れてたけど、リリアさんって料理壊滅的だったよね。
レシピを教えたとしても、ダークマターが出来上がりそうだし、そうなったらマレウスさんのセコムが黙っていないだろうからやめておこう。