第6章 腹減ってタルト食ったら首はねられた?
「とはいえ、エースが行った事は立派な犯罪行為……骨の髄まで反省させてやる。今夜は眠れると思うなよ?」
にっこりと笑顔を向け、私はエースに対して朝が来るまで悪夢を見させ続けた。
エースの悲鳴が響き渡るが、知ったこっちゃない。
「記子、ありがとう。急にすまなかったね……」
「いえいえ、私こそ急にすみませんでした。出過ぎた真似をお許しください」
「あの……もし、君が良ければ。今度なんでもない日のパーティーに招待させてもらえないかな?
君に言われた通り、法律を見直して僕たちなりに考えてみようと思うんだ」
「リドル先輩がいいのなら、是非参加させてください。楽しみにしていますね?」
その後も軽く談笑し、リドル先輩を部屋に戻らせてから私も自分の寮へと戻った。
「ただいまグリム、いい子にしてた?」
「おう! 見ろ、バッチリなんだゾ!」
「やれば出来るじゃんグリム、じゃあ約束のツナマヨホットサンド作ってあげようね。明日の朝ごはんもホットサンドにしよっか」
「楽しみなんだゾ! オレ様も手伝うんだゾ!」
本当にグリムはいい子になったな。
まあ長く続けられるようにできるかは、私の腕にかかってるわけだけどね……長期戦は得意な方だよ。
翌日、エースはリドルさんにきちんと謝罪し、お詫びのタルトを渡した。
その後、法律が大幅に見直され、みんなで相談をしながら新しい法律を作ることになり、一件落着……かに思われたのだが。
「記子は俺と一緒に昼飯食うんですけどー」
「いいや、僕と食べるんだ。そうだよね、記子」
何故か昼飯をどっちと食べるか論争に巻き込まれ、面倒事が増えたのは計算外だった。
「あの、別に三人で食べたらいいんじゃないんですか? こだわる理由が分からないんですけど」
「二人で食べるから意味があんのー! 記子って頭いいのにこういう所は疎いんだな」
「何かエースにだけは言われたくないわ、マッハで理解できるようになるから首洗って待ってろ」
「やれやれ、時間をかけて分からせればいいだけの事じゃないか。
僕が記子に時間をかけてゆっくり教えてあげるよ」
「何か発言が黒く感じるのは気の所為ですかリドル先輩」