第3章 妻、初仕事をする。
生理的かどうかは分からないが、大事な時に泣いてしまう自分に嫌気がさした。
「本当かい?」
『本当だから…』
目の端を短く数回口付けて、涙を拭ってくれた。擦ると腫れる事を分かっていたからだろう。
「理由があれば教えてほしいのだけど…」
『は、恥ずかしかっただけ…。次から気を付けるから…』
気を付けたとて涙が流れないようになるかは分からないが、怖いわけでも痛いわけでもない事は分かって欲しい。
「初めてなのに急ぎすぎたね。今日はもう寝ようか。寝たら媚薬の効果も消えているかもしれない」
こんな拷問あるかと叫びたい気分だ。私に恥ずかしい思いをさせるだけさせておいて、媚薬の効果もそのままに悶えて眠れというのか。
『…意気地なし』
精一杯の強がりで煽ってやった。引っかかる訳ないかと思ったが、簡単に乗っかってきた。
「煽ってくれるね…」
眉を引き攣らせながら再度組み敷いてきた。心臓の音が、近付いたせいでよく聞こえる。普段の拍とは倍程の速さで鳴っているのに気が付いたら。社奉行の当主が取り乱す事なんてないと思っていたのに。なんで。
「止まれないけど、構わないね?」
余裕がないのは、お互い同じだった。お互いに寝間着を脱ぎ捨てて、もうおかしくなっているようだった。お酒の酔いもあって、正常な思考なんてできない。もう正常な思考をする気もなかったのかもしれない。もうすっかり濡れそぼった下着の上から、ぷっくりと膨れ上がっている芽を摘まれる。
『あっ…あ゛ぁ…!』
電流が走ったようにビクビクと震えた。唇を塞がれて、酸素も無くなっていく。綾人が膣口を弄ぶ音と、唇を吸い上げる音で部屋に淫らな水温が響き渡る。
『ふっ…んぅ、ん…』
認めたくはないけど、快楽に溺れてしまいそうだ。この先、もっともっと気持ち良くなってしまったら。私はどうなってしまうのだろう。
「もう十分だね。挿れるよ」
男性器なんてまじまじ見る機会も無かったから、思ったよりも大きいそれにがっつり目が入った。
『ちょ、ちょっと待って。そんなの絶対入らな…』
「ふっ…」
『っ…』
小さい入口を押し開くように乱暴に押し入ってくる。大きさが狂気のそれのせいでさっきまでの快楽が嘘のように痛い。
『…ったいのよ馬鹿!』
虫の抵抗と言わんばかりに震える腕で綾人を押し返す。しかし一向に動く気配はない。