第7章 コブラ 「ずっと想って」
あれから、何年がたったか。
私はあの後送られた街の外れで、何も分からない所で一から生活をした。
「……コブラ君」
思い出さない日なんてなかった。
あの時ああ言ってくれたのも冷静になれば私の為のものだと分かった。
「守られてばっかり...」
そう言ってお茶を入れる。するとフッと微笑むような声がした。
「……アッサム、だっけか?」
「!?コブラ君?」
辺りを見回してもどこにもいない。
「……あ、れ?」
「ここだ」
声を辿ると開けていた屋根付近の窓の縁に座ってニッと笑う彼がいた。
「…なんかいっつも上から話しかけてくるね」
「会って第一声がそれかよ」
フハッと吹き出す彼を見て涙が溢れ出す。
窓辺から降りてきたコブラ君は私の前に立って優しく涙を拭った。
「ごめんな?あの時」
「ううん。…でも、どうやってここに来たの?」
そう言うとコブラ君は自慢気に笑った。
「お前の心の声を辿ってきた!」
「へ…?」
コブラ君は笑いながら言う。
「昔から、お前の心の声は全部筒抜けだ。俺の事好きって言うのも、全部知ってた」
最初は何言ってるか分からなくて、徐々にカアッと顔の熱が高くなるのがわかった。
「まあ、照れんなって!」
頭を撫でられて私は頬を膨らます。
私の声だけ聞こえるって卑怯すぎでしょ。
「卑怯じゃねえよ。だって俺は素直に伝えるもん。カナタ、好きだよ」
頭の手を後頭部に、空いている手を腰に回される。そしてベッドに押し倒された。
「今度こそ、願い叶ったわ。無理かと思ってたからな。カナタに告白するっていう夢」
耳元で囁かれて固まっているとコブラ君は笑う。
「…俺はコブラじゃねえ。エリックだ」
「…………エリック?」
そう聞くと彼は少し顔を赤くしてまた微笑んだ。
「ああ、カナタ」
「……照れてる」
「照れてねえ」
そう言いながら私の耳に、頬に、おでこに、顎に、色んなところにキスを落としてくる。
「……エリック君?なんで……」
言おうとしてやめた。
でも、エリック君は少し目を開いてから笑って私の唇に愛おしそうにキスをした。
………エリックはまだ私を焦らすの?………
-𝑒𝑛𝑑---------------