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短編 フェアリーテイル

第4章 ガジル 「どんな時も」


フェアリーテイルに幽鬼の支配者が負けた。
ガジル…。



昔、私たちの街には夜になると襲ってくる魔物がいた。そんな街を助けると言いに来た人達がいた。

私たちは喜んだ。
やっと私たちの地獄も終わるんだって思った。
逃げて隠れて静かにしてる、こんな生活が無くなるんだって皆がはしゃいだ。

夜になった。
逃げ遅れた私とお兄ちゃんは魔導師の後ろに隠れた。
それなのに、その魔道士は私たちを置いてどこかへ行ってしまった。

しかも大量の魔物を置いていって。


「お兄ちゃん…!!どうしよう…!?」


パニックになった私をお兄ちゃんはおんぶした。


「…大丈夫。お兄ちゃんと逃げよう!」


私を抱いたまま皆が逃げている避難所へ走った。
向かいから来る魔物が見えたら途中で曲がって…


そして避難所へついた。
が、避難所に居たのはあの魔物たち。


「な、なんで…」


お兄ちゃんと私は絶望した。

後ろからは今逃げてきた魔物たち。
前には返り血をあびた魔物たち。


「お兄ちゃん…!」


私はお兄ちゃんの背中から降りて手を引く。


「あっちに行こ、お兄ちゃん!」


しかしお兄ちゃんは避難所を見たまま石になったかのように動かない。


「お兄ちゃん…!!」


お兄ちゃんの視線を追うと私も避難所を見ると息をのんだ。

他の奴とは少し違う。
蜘蛛のような魔物が私達のお母さんを食べていたのだ。


「や…っ!!お母さん!!」


そう叫ぶとお母さんと目が合った気がした。
お母さんの表情はいつものような笑顔じゃなくて酷く怯えた顔だった。


その蜘蛛が私たちを見る。ニヤァ、と口の中を見せてとんでもない速さでこちらへ向かってきた。


「お兄ちゃん!!来る!!」


そう叫ぶとお兄ちゃんは私の手を引いて走り出した。多分何処に逃げようとかなかったんだと思う。

だって大人から避難所が1番安全だと教えられていたのにそれが破られていたから。


「カナタ、この村を出よう!」


走りながらお兄ちゃんが微笑んでそう言う。


「でも、皆居なくなっちゃったよ…?」


私は半泣きの状態で聞く。すると握っていた手に痛いくらいの力が加わった。


「僕とカナタなら生きていける!」


そしてまた、言った。


「僕たちがお母さんをあんなにした魔道士を倒さなきゃ!」


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