第1章 ナツ 「あの宝石」
今日はナツと2人でのクエスト
「村を荒らす化け物を倒して…、だって」
列車から降りてオレンジジュースを飲みながらナツを見る。
「うぷっ…。俺にかかれば…おぇ..!」
ナツは昔から乗り物酔いが酷い。
ほんと、気の毒になるくらい。
「それでね、ナツ。今から行く村なんだけど、凄く暑いらしいから涼しい服買って行って良いかな?」
周りの人達の服装は涼しげな麻で作られたワンピースで胸元に造花が着けられていた。私はそれに完全に一目惚れした。
「あー?別に良いけど。こんくらい暑くないだろ?」
怠そうに肩を落としているナツの袖を引っ張って近くにあった店に入った。
「ナツ!これ、どうかな?」
「良いんじゃねえ?」
「こんなのどう!?」
「おー」
「ねえ、これとか…」
「お、それよく婆さんが着てたぞ」
一発殴って手をはたく。
「ったく…」
「すぴばせ…」
どれを見せてもよく分からない返事をされるから自分で気に入ったのを探し出して買った。
少し歩いてから、
「なあなあ、このアイス買っていいか!?」
目をキラキラさせるナツに仕返しをしようと思って
「んー、好きにして?」
と目も向けずに答えた。
少し間を開けてから
「…おう」
と小さく拗ねたような声が聞こえてきた。
…まずい。やりすぎた?
ナツをチラッと見ると唇を突き出して石ころを蹴っている。ハッピーを見るけど私の顔を見てニヤッと笑うような顔をするだけで助けてくれはしないようだ。
「…ナツ、あのアイス買おっか!」
手を繋いで今来た道をUターンする
「…なんで?」
「私も食べたかったから!」
そう言うとナツも笑顔に戻ってくる。
そして手を離して走り出した。
「買ってくる!」
少し小さなナツの背中を見て微笑んだ。
「ダメだよ〜。ナツをイジメちゃ!」
ハッピーが私の腕の中に入ってくる。
「しょうがないじゃん?私も仕返ししたかったの!」
ハッピーの頭を撫でる。
「ナツは服の事とか気にしてないからわかんないよ〜」
そう言っている間にナツが戻ってくる。オレンジアイスを私に手渡して、ハッピーにはバニラをあげていた。
「美味しい…!ありがと!」
そう言ってナツを見るとナツも笑って私を見た。