第21章 ローグ 「俺はダメか?」
私がつい後退りをするとローグさんも追ってくる。壁に背中がついて逃げ場が無くなってしまった。
ローグさんはそれを見て少し笑った。
「俺が怖いか?」
そんなローグさんに私は首を横に振る。
「怖くない…ですけど……」
「けど?」
「ほんとに恥ずかしいんです。……こういう事慣れてもないし」
顔を隠しながら言う私に彼は笑った。
「俺も慣れていない。それどころか初めてだ」
それを聞いて私は目を見開く。
するとローグさんは少し悲しそうになった。
「…頼りないか?俺では嫌か」
「いや…、むしろローグさんじゃないと…」
「なら良いだろう」
そう言ってローグさんは私の手を握った。
その手にキスを落としてくる。
何度もキスをしてきて体を撫でられる。
今までの分、と言わないばかりだ。
何度も何度も名前を呼ばれる。
そして私もローグさんの名前を呼んだ。
呼び捨てで呼ぶと嬉しそうに微笑んで。
「すまない。無理をさせたか」
ローグさんに頭を撫でられる。
私はローグさんに抱きついた。
すると少し手が止まってからまた撫でられる。
「……次からはもうちょっと心の準備とかさせてください。心臓に悪いです」
「そうか」
私の顔を見てほんとに擦れるくらいのキスをする。何度もそのキスをされる内に私は寝てしまった。
「よっ。どうだ?」
スティングさんが私の方に歩いてくる。
私の頭に手を乗せようとした瞬間ローグさんが私の腰に手を回して引き寄せた。
「……これは成功か?」
「です」
スティングさんが苦笑いをしながらこっちを見るので私も笑って頷く。
「ローグ!俺のおかげじゃねえか!」
ローグさんの背中を叩くスティングさんにローグさんは少し睨みつけた。
「そうなのかもしれないが…、カナタに金輪際触るな。2人っきりで話すな」
「あれ、ヤバいぞ。カナタ。コイツもしかして嫉妬の塊なんじゃねえの?」
スティングさんは笑って私を見る。
私は悩んでから答えた。
「大丈夫です!ローグさん以外はないので」
「……へー、また惚気かよ〜」
-𝑒𝑛𝑑---------