第20章 スティング 「早く俺のモンに」
土曜日、アルの結婚式に向かう為にユキノにどんな物を着ていけば良いか相談すると
「私ので良ければカナタ様に貸しますよ」
と笑顔で言ってくれる。私はそんなユキノに甘えて今度持ってきてもらうことにした。
次の日、ユキノはギルドに素敵な青ベースの素敵なドレスを持ってきてくれた。
ノースリーブでその上から更に青いレースのガーディガンを羽織るものらしい。
大人っぽすぎて私に似合うだろうか。
不安で顔をドレスと見つめあっているとユキノがふふ、と笑って言った。
「カナタ様ならきっと似合います。もしよろしければ今からちょっと着てみますか?」
ありがたい提案に私はコクコクと頷く。そして2人で空き部屋に入ってドレスを広げた。
普段着ないものだから見るだけで圧巻される。手伝ってもらいながら着てみるとユキノは私を見て目をウルウルさせていた。
「カナタ様…、とても綺麗ですよ!」
手を合わせて喜ぶユキノに私は笑ってしまう。
でもここには大きい姿見がないから私にはユキノからどのように見えているのか分からな買った。
「ちょっと御手洗のさ、大きい鏡で見ていい?」
「良いですよ!行きましょう」
2人で御手洗に向かうとスティング君に出会った。
後ろにいたローグが言った。
「お前か。綺麗になったから分からなかった。どこへ行くんだ?」
そんなに服装1つで変わるのかな。
私が苦笑いをしているとスティング君も目を丸くしたまま私の手を握ってきた。
「カナタさん...!ほんと綺麗っす。どうしたんですか。誰と出かけるんですか」
強いくらいに握られて誤解されていると分かった。
私はスティング君に握られていない方の手で彼の頭撫でて言った。
「前にアルの家行った時、結婚式に呼ばれたでしょ?ドレスに悩んでたらユキノが貸してくれたから今鏡を見に行こうとしてるの」
するとスティング君はすぐに手を離して照れくさそうに笑った。
「はは、そうだったんだ。ごめんなさい。すごい綺麗っすからカナタさん自身も驚くんじゃない?」
と道を開けてくれた。
私はそうかなぁ、と笑いながらユキノと見つめあった。