第19章 ミストガン 「君ならいつも」
...?私の体は透けてないけど
周りをキョロキョロ見るとナツは口を1文字に閉じて首を傾げていてウェンディも隣の男の人も同じ表情で首を傾げていた。
「...え?」
どんどん消えていくナツの手を咄嗟につかもうとする。でももちろん掴めなかった。するとナツは笑った。
「なんかよく分かんねえけど、先に行っとくからな。また会えたら良いな!」
そう言ってみんな消えてしまった。
ナツだけが笑ったまま、ウェンディも男の人も私も首を傾げながらのお別れをした。
...ん?私も消えるはずじゃ?
後ろを振り返るとジェラールもまた首を傾げた。
「カナタってもしかして...こっちの世界の人だった?」
エドラスの魔力を持つものが消えるらしいけど私は確実に魔力を持っていた、はず。
だからまた首を傾げるとジェラールは思い出したように聞いてきた。
「カナタのラストネームは何?」
「...えっと、アマリリスだけど...」
納得したように彼は微笑んだ。
そして私を抱きしめる。
「え、何...?」
「君は昔の僕の婚約者だよ。君のお母さんはこの国で唯一魔法が使えたんだ。特別扱いが嫌いであっちの国に出ていったんだ。そうだ。だから君はあの国に居た」
合点が行ったように微笑む彼。
...要するに元は私はこっちの国の人ってことらしい。
エルザ達やルーシィに会えないのは寂しいけど
「これからジェラールと居れるってこと...?」
「そうだよ。...君を俺の奥さんに迎え入れていいか?...今度は離さないから」
ジェラールが私の背中に手を回す。
強く抱きしめられて私もそれに応えた。
「...何か、まだ理解できてないんだけど...。聞きたい事ももっといっぱいあるんだよ?」
「それは、これからずっと居れるんだから。何でも話すよ。...カナタ」
少し赤い彼の顔を見る。
私は笑ってしまった。
「わかったよ。...でもまた居なくなったら今度は探しに行かないから」
「...うん」
そう言うとジェラールはかがんで、私は背伸びをしてキスをした。
-𝑒𝑛𝑑---------