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短編 フェアリーテイル

第17章 ロキ 「僕のって印」


今日もカウンターに座ってレモンティー頼む。
そしてミラちゃんと他愛もない話をしていると、


「カナタ、楽しそうだね?僕も混ぜてよ」


後ろからロキさんの声がかかる。
ミラちゃんは私の横の席を指さした。


「あ、ひっぱたかれたロキ。ひっぱたいたカナタの横に座りなさいよ」


ふふっと笑うミラちゃんに私たちは少し顔を顰めた。


「ミラ、いつまでそれをネタにするんだ?」


「そうですよ。ほんと、恥ずかし…」


溜息をつきながら笑うロキさんと顔を手で覆う私を見てミラちゃんはニコニコしている。


「だって面白かったんだもの。ロキの顔」


さっきからスラスラとこっちの心を抉るミラちゃん。ロキさんは苦笑いしながら私の手をとった。

そしてミラちゃんを見つめる。


「…この子、借りるね?ちょっと用事だ」


そして彼は手をひいて歩き出した。
後ろを振り向くとミラちゃんはむーっと口をふくらませていた。



「さ、カナタ。…ここに入る準備は良いかな。無理はしなくていいからね?」


着いたのは私の故郷。
今や無法地帯と化している場所だ。

前にロキさんが1人で来ていることを知ってから私も連れて行ってもらうようにしてもらった。

いつも故郷のゲートを潜る前にこう確認される。


「大丈夫だってば。…行こ?」


ロキさんの顔を見つめると、


「ん…?こんなとこで誘惑だなんて…ほんと、困った子だな」


と馬鹿みたいな事を言ってるので1人で入る。

すると後ろから手を強くひかれた。
振り向くと今さっきのだらけた笑顔じゃなくて真剣な顔で。


「先に1人で入るのは危ない」


そう言われて私は少し落ち込んで下を向いた。
そんな私を見てロキさんは私の頭を撫で回す。


「さあ、入ろっか。僕と2人ならどんなとこでも安全だからねぇ」


といつもの顔に戻った。

向かった先はもちろんあそこだ。


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