第14章 ジェラール 「会えないけれど」
牢屋に戻るとすぐにジェラールが駆けてくる。
後に続いて他の皆も。
「カナタ!無事だったんだな…!良かった……って…その頬、殴られたのか!?」
微笑んでいた表情が一変、怒りに満ちた顔だ。
私はジェラールを見て微笑んだ。
「あのさ、…私、…ううん……。なんでもない!大丈夫だよ」
たった今あの男に言われた事を皆に言おうと思ったけど、ジェラールが何かしてしまったら彼に罰が与えられるから言わないまま出ていくことに決めた。
「…?お前、何か隠して」
「はーい!さ、あっちで遊ぼ!」
ミリアーナやシュンを連れて走っていく。
ジェラールは少し立ち止まってから私たちを追いかけてきた。
1週間が経ったころ、私は皆と遊ばなくなった。
遊べば遊ぶほど辛くなる。
そう思って私は最近は1人でずっと寝ていた。
するとミリアーナが声をかけてくる。
「…リリスちゃん。元気ないニャ?」
「…ううん。元気だよ。……ミリアーナ。私とミリアーナの2人だけの秘密事、してもいい?」
ミリアーナは私の大親友でもある。
彼女には、言っておこうかな。
コクコクと頷くミリアーナにゆっくり話す。
「私ね、あと1週間したらここから出ていくの」
「ニャッ!?それほんと!?」
声が大きいと思ったのか自分で口を塞いでいる。
私は笑う。
「うん…。変な男の人に買われるの」
「え…?買われる…って…。だめニャ!!そんなことしたらリリスちゃん…」
ミリアーナも意味が分かったようで泣きそうになっている。
「ジェラールに言うニャッ!」
そう立ち上がった彼女の手を引いた。
そして座らせてから話す。
「誰にも言わないで。これはミリアーナと私の秘密。…約束できる?」
「…んー!でもジェラールに言ったら…っ!」
「ダメだよ。ミリアーナ」
彼女の悔しそうな顔で私も泣きそうになる 。私の顔を見てミリアーナは手を取った。
「わかったニャ。…約束守る」
「…ありがとう」
つい涙を零す彼女は上目遣いで聞いてきた。
「…これからは一緒にいていいかニャ?」
「もちろん。…一緒にいて?」
そう笑うとミリアーナは泣きながら笑った