第2章 in 週末のファミレス(幼馴染みの皆さんと一緒)
(…大野智くん…か)
奥さんの居る人に囲われて、理不尽な理由で捨てられて、身勝手に知らない男に押し付けられた人
翔「……嫌だって、言わなかったの?……その人」
潤「ん?」
俺は顎に手を当てて聞き返す松潤をじっと見詰めながら、もう一度言った
翔「別れたくないとか…
知らない男に押し付けられるのは御免だとか、何にも言わなかったの?
…その、智くんって人は」
潤「……何も言わなかったみたいだな…
…俺が彼に初めて会った時に、あんなヤツの言いなりになって良いんですかって訊いたら
何も言わないで、ただ、ニッコリ笑ってたよ」
翔「……」
30過ぎで妻帯者に囲われ捨てられた智くん
それを何も言わずに笑って受け入れた智くん
そして、イケメンで結構良い会社に勤めて居るのに、30過ぎて未だ童貞の俺
挙げ句、付き合った彼女に悉く「キモイ」と吐き捨てられて振られている俺
翔「……」
俺の中で、まだ見ぬ智くんへの変な共感みたいなモノが膨らんで行った
そんな俺の表情を正確に読み取った松潤が言った
潤「…会ってみるか?」
翔「……」
俺は黙って頷いた