第6章 in フラれちまった悲しみに(最早“in”は不要)
翔「………智くん………逢いたいなぁ……
………もう一度、顔が見たいよ……
………智くん………」
そして、君を…
(……最後まで、愛したい)
胸の奥がギュッと締め付けられる様に痛んだ
閉じた瞼の裏に
智くんの顔が浮かぶ
柔らかな微笑みを湛えた笑顔
切なそうな憂いを浮かべた横顔
哀しげに潤ませた瞳から涙を溢れさせた泣き顔
色っぽく悶えながら喘ぐその姿…
その声…
その匂い…
翔「…………智くん俺どうしよぅ………
………どうしようもなく、好きになっちゃったみたいだよ………」
智くん
…君を…君の事を…
───ギュルルルル……
翔「………(泣)」
甘い感傷が、大音量の腹の音にかき消される
それでも、どうしても智くんの匂いの残るベッドから動く事が出来なくて
俺は、若干痛みさえ覚え始めた腹を擦って、ゴロンと寝返りを打った