第6章 in フラれちまった悲しみに(最早“in”は不要)
───キュルルル……
翔「……………は、腹減ったな(汗)」
とりあえず服を着て、再びベッドに寝ころんでいたら
俺の腹が空腹を訴えて情けない音を立てた
翔「……何か食いに行こうかなぁ」
1人ブツブツ言いながら、のそっとベッドの上に起き上がる
翔「………」
両肘をついて体を起こしたベッドから、仄かに甘い香りが漂っていた
(……智くん、今頃…松岡さんと……)
翔「はぁ〜…」
俺は溜め息を付くと、またベッドに転がった
再び天井をぼんやり見上げる
(ホテルに居るって言ったのに、松岡さんは逢いたいって言って来たんだ…
…きっと、松岡さんは何が何でもよりを戻したいのに決まってる)
奥さんと別れたのかどうかは解らないけど
やっぱり智くんを手放すなんて事出来なかったんだろう
翔「……出来ねぇよなぁ……俺だって、ほんのちょっとしか一緒に居ないのに……もう離れたくないもんな…(泣)」
転がったベッドから漂う、智くんの残り香
俺は居たたまれなくなって、零れそうな涙を誤魔化す様に目を閉じた