第7章 真相は愛しい我慢の後で / 明智光秀
(光秀さん、遅いなあ……)
布団の上で小さく座りながら、愛しい人を待つ時間は長い。
もう夜も遅く、私は湯浴みもバッチリ済ませたし、あとは寝るだけだ。
でも……
最近恋仲になった光秀さんは、今日も遅い。
いつもひとつの褥で眠って、まあ……触れ合ったりとか色々しているわけだけれど。
ここのところ数日、私は光秀さんより先に眠ってしまっている。
と言うか、光秀さんが帰ってくるのを私は知らない。
眠いのを我慢して起きてはいる。
でも待てど待てど光秀さんは帰って来なくて、いつも限界が来て寝落ちてしまうのだ。
朝起きれば、光秀さんは隣に眠っていて、たいがい私を優しく抱き締めてくれている。
きっと、私が寝落ちた後に帰ってきて、お布団に入るのだろう。
何となくだけど……先に眠った私を見て、寂しく思っていると嫌だなって思うから。
だから、今日こそ起きていたい。
起きていたい、のに……
「もう限界が来そう…私のばかあ……」
目がしょぼしょぼして、瞼が重くなる。
もう眠気はピークに達していた。
でも、光秀さんが帰ってくるまでは起きてなきゃ。
『お帰りなさい』って言って、抱きつきたい。
そしたら、光秀さんはきっと困ったように笑って『ああ、ただいま』って口づけてくれる。
その後……触れ合う時間もあるかもしれない。
─────だって、最近触れられていないよ
「頑張れ私、頑張れ私のまぶた……」
喝を入れるもだんだん目をつぶる時間が増えていき、私は座る姿勢から横になってしまった。
これ、絶対ダメなパターンだ。
絶対寝ちゃう、確実に寝ちゃうから起き上がらないと!
そう思っても、睡魔はさらにスピードアップして私を襲い、もう頭までぼんやりしてきて。
もうだめだ、今日も私は『自分自身』に負けた。
(ごめんなさい、光秀さん)
心の中で懸命に謝りながら、私は意識を手放した。
私はきっと翌朝も光秀さんの寝顔を見て、後悔するんだろう。
そんな罪悪感も心に残しながら、ふわふわと心地よい夢に誘われていった。
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