第2章 夜風に戯れた告白を / 明智光秀
(────うっかり、"俺もだ"と言いそうになる)
今は命儚い乱世で。
俺は、泰平の世のために歯車となる。
きっと、女にうつつを抜かす暇は無い。
だが、お前は可愛いと思うよ。
きっと⋯⋯傍に置きたいと思うくらいに。
「すきです」
繰り返される告白は風に溶けて、いつしか結衣は頭を預けたまま眠ってしまった。
もし起きて、同じことを言ったなら⋯⋯
その時は、応えてやってもいいかもしれないな。
そんな事を思う自分は、少し可笑しい。
少し熱くなった心と体を夜露に浸す。
俺の口元には⋯⋯微かに笑みが浮かんでいた。
了