第1章 零太くん、一生のお願い!
零太くんがお家に帰ったあと、私は早速『何でもする券』を作る事にした。
何故券にしたのかというと、命令出来る回数を可視化した方がお互いやりやすそうだからだ。
『何でもする券』を作ってみたかったのもあるけど。
私は勉強机の本棚になっている部分──教科書を並べているスペースだ──に挟まっている自由帳を取り出した。確か、これは中学生の時に買っていたもので、まだ空いているページがあったはず。
パラパラと捲ると、白紙のページが出てきた。
ハサミで切り離し、形を整える。
開発にどれくらいの期間がかかるかは分からないが、長い間付き合ってもらう可能性がある以上、私が何でもするのが一回だけ、というのは良くない気がする。
命令出来る回数は……取りあえず三回にしておこう。
私は紙を三等分して、それぞれに『苗字名前が何でも言う事を聞く券』と書いた。
元が自由帳のページだから安価な券になってしまったが、重要なのは、このペラペラの紙が持つ『効果』だ。よって何も問題はない。
さて、券は完成した。
明日学校でこれを渡して、いけそうだったら早速その日の放課後に開発させてもらおう!
私は明日からの開発の日々を想像して、一人ニマニマしながら券を眺めたのだった。