• テキストサイズ

大人のおとぎ話 [ガチパロ]

第2章 みにくいあひるの子…旅の途中で



****

木こりがオオカミと会えなくなって随分経つ。

「ふう、今日もよく働いたなっ」

彼女は額の汗を拭った。
弟が切った木の仕分けをして町へと運び、金銭や野菜に変えて家路へと歩いている最中だった。

今両手で持っている、ずっしり重い荷物も以前は弟が運んでくれていたもの。

「でも大丈夫だよ、全然余裕だもんね!」

あれから自由を得た木こりは、オオカミと会った池に通ったものの、彼はいつもいなかった。

『あー、オオカミってか、弟ね。 母親に縁切りされたんだよねー。 っつか、やっぱアレ、オオカミだったんだ?』

そこで通りがかったアヒルが木こりにガーガー話してきた。

「縁切りだなんて、かわいそうに」

(きっとあそこに居づらくなったんだろうな)

木こりは彼の悲しみを想像すると胸が痛んだ。

オオカミは鼻が利くという。
そんな理由があったのなら、いつか彼が自分を訪ねてくれるだろうと単純に信じていた。

「こっちの準備は万端だよ! 早くお嫁にきてね、オオカミさん!!」

大声でオオカミに呼びかけつつ、意気揚々と家路につく木こりだった。




/ 220ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp