第2章 みにくいあひるの子…旅の途中で
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木こりがオオカミと会えなくなって随分経つ。
「ふう、今日もよく働いたなっ」
彼女は額の汗を拭った。
弟が切った木の仕分けをして町へと運び、金銭や野菜に変えて家路へと歩いている最中だった。
今両手で持っている、ずっしり重い荷物も以前は弟が運んでくれていたもの。
「でも大丈夫だよ、全然余裕だもんね!」
あれから自由を得た木こりは、オオカミと会った池に通ったものの、彼はいつもいなかった。
『あー、オオカミってか、弟ね。 母親に縁切りされたんだよねー。 っつか、やっぱアレ、オオカミだったんだ?』
そこで通りがかったアヒルが木こりにガーガー話してきた。
「縁切りだなんて、かわいそうに」
(きっとあそこに居づらくなったんだろうな)
木こりは彼の悲しみを想像すると胸が痛んだ。
オオカミは鼻が利くという。
そんな理由があったのなら、いつか彼が自分を訪ねてくれるだろうと単純に信じていた。
「こっちの準備は万端だよ! 早くお嫁にきてね、オオカミさん!!」
大声でオオカミに呼びかけつつ、意気揚々と家路につく木こりだった。