第8章 ラプンツェル…少女の物語♥♥
森の一軒家に夫婦が住んでいた。
お腹に子供を身ごもっている妻とその夫は困っていた。
その冬は寒く、家の食料はもうほとんど無いし、外の吹雪が止みそうにない。
「この雪。 どうにかならないかなあ。 これじゃあ、木こりの仕事どころか、食べ物を取りに行くのもままならない」
今日も朝から降り続ける雪に夫は窓を眺め、テーブルの上で頭を抱える。
そこから続きの寝室のベッドの上では、妻が不機嫌そうにガチャガチャ編み物をしていた。
「だからアタシは反対だったんだよ! 突然こんなへんぴな所に引っ越すだなんて、知り合いも誰もいやしないし。 ああ、お腹が空いたねえ!」
大声でイヤミを言われるも夫は何も言い返せない。
せめて雪で家がつぶれないように、夫が雪かきをしにスコップを手に持って外に出た。
家の前の雪かきをしている最中だ。
スコップの先になにかが当たるのに気付いた夫は「おや?」と不思議に思い、注意深く周辺の雪を掘ってみた。
そこにあったのは雪に埋もれているにもかかわらず、生き生きとした緑の葉っぱの植物。
夫は試しに小さくそれをちぎり、おそるおそる口に入れてみると、意外にそれは美味しかった。
(なんとありがたい。 きっとこれはご先祖と妖精様のお導きに違いない)
喜んだ夫はいくらかの葉っぱを手に家の中へと入っていった。